道展物語(17)~第二期道展・後期~

道展物語

2023.05.19

 改組当時、会員数、日本画2名、洋画35名、彫塑、工芸なしであった道展は、25周年までの4年間に日本画6名、洋画49名、彫塑1名、工芸2名となり、他に会友19名を擁した。これからの5年間、30周年記念展を目指して新しい発展の準備に入るのである。

 『30周年記念道展』。戦後10年の努力が結実するかどうか、道展はこの年にかけていた。ながい伝統を背負い、しかも新しく生きようとする道展の意気込みは、まず6月上旬に開かれた春季道展にもうかがえた。春季道展目録の冒頭には、『道展創立三十周年に寄す』として次の一文が掲げられた。

 「道展三十年の歩みは、北海道の文化に如何に光彩をあたえたことか。その歴史的事実は自負してはばかるところのないものである。来るべき秋の三十周年記念展に先だち、この展覧会を北海道の画壇におくる」

 また、伊藤正は『北海タイムス』紙上に、【『道展』戦後十年とその将来(三十周年記念展によせて)】と題し、次の様に書いている。「『道展は続けなければならない。如何なる隠忍の時期を経ても道展は続けなければならない』これは、終戦直後の疲弊の中に漸く立ち上ったいわばやせ細った道展の合い言葉であった。それは北海道の画壇がどうあるべきかというような理論の上に打ち出されたものというよりは、絶ち難い道展への愛着のそれであった。(中略)

 かくて万感こもごも第三十周年記念展の会場に立つ時、道展三十年の回顧的感傷は一瞬に霧散して、新たなる決意は我々を明日への道展へと駆り立てるのである。」(続く)

~道展四十年史より(一部中略あり)(K.W.)

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