道展物語(16)~第二期道展・前期~
道展物語
2023.05.19
再出発後の道展は、2ヶ月おきに展覧会を開くという張切り方で、戦後の苦難の時期を会員の同志的結合によって一路目的達成に邁進した。道展改組から25周年記念展にいたる道展の主な事業を列記すれば以下の様になる。
○昭和22年『第8回道展作家水彩展』、『第1回道展青年作家協会展』、『春季道展』、『第22回道展』、『道展青年作家秋季小品展』
○昭和23年『第1回こども道展』、『第9回道展作家水彩展』、『第2回道展青年作家協会展』、『春季道展』、『第23回道展』
○昭和24年『第2回こども道展』、『第10回道展作家水彩展』、『第3回道展青年作家協会展』、『第24回道展』、『道展会員会友小品展』
○昭和25年『第3回こども道展』、『第11回道展作家水彩素描展』、『道展夏季洋画講習会』、『第25回記念道展』
前述の年度別事業内容を見ても分かる様に、本展以外にも多くの展覧会、講習会等をもって、本道美術の普及、振興という道展本来の目的に添う様全力を挙げた。しかも特定の新聞社やスポンサー等のバックアップ無しに、自力で会員相互の乏しい持ち寄りの財源によって、地味に、堅実に、一歩一歩、戦後の疲弊からの立ち直りと、10年後を目指しての基盤作りに全力を注いだ。
当時の道展の気分について、伊藤正は道展二十五年記念誌上、『すがすがしい空気』として次の様に述べている。「現在の道展にはいつもすがすがしい空気が流れている。ボスなどというものがない。道展の中に自分のグループの根を張りめぐらし自分の利益のためにのみ道展を利用したりする者がいない。(中略)
道展には政治性がないという声もよくきく。政治性とはいかなるものか不肖にしてよくわからないが、大体察するところ、作品の純粋な感銘によって展覧会をありのままに感じさせるということではなく、それを実際以上によく思わせるために、誇大宣伝にこれつとめることらしい。(中略)僕は道展を流れているこのさっぱりとしたすがすがしい気持をこの上なく愛する。」(伊藤正)(続く)
~道展四十年史より(一部中略あり)(K.W.)