道展物語(15)~戦後の道展~

道展物語

2023.05.19

 戦後の道展を記述の便宜から、戦前20年を第一期道展とすれば、戦後10年は第二期道展、さらに続く10年は第三期道展と言えよう。

 道展改組から25周年記念展までの終戦後の混乱からの立ち直りの時期を『第二期道展・前期』とすれば、新しい発展への準備期間と言える30周年記念展までの5年が『第二期道展・後期』となる。

 第21回道展は、昭和21年10月15日から21日まで、札幌丸井4階で開催された。戦後初の公募展として開催されたが、出品点数は絵画101点、彫塑4点の計105点であった。作品サイズも12号以内である。搬入数は290点で入選77点・72名、そのうち新人選は11名であった。この時の受賞者は、鈴木伝、小島真佐吉、遠藤未満、森本三郎らで、この後11月に開催された第1回全道展(公募)の受賞者とほとんど同じ顔ぶれであった。戦後初の道展はこの様にして、やがて全道展にはっきり分かれる事になった会員の一部も含まれたまま開催されたのである。当初、会員展として発足した全道展が公募展に変転した頃から、道展には、はっきり改組して再出発しなければならないという空気が次第に濃くなっていった。

 昭和21年12月1日、北海道美術協会は、全会員・会友に次の文書を送り、道展改組の決意を明らかにした。「先般第二十一回道展開催に際しては百数十名に上る多数の搬入者を見、近年になき盛会のことは誠に御同慶の至りに存じます。次いで全道展の開催もありましたが、これが開催にあたっては、新聞に、道展会員中、道展にあきたらざる者の一部参加の趣も報ぜられました。かかる際、道展は確固による組織によって所期の目的を達したく、貴下の道展に対する次の御意思を至急御明示下さるよう御願いいたします。(以下略)」

 かくして、3ヶ月の準備期間を経て、昭和22年3月9日、新陣容による初の道展総会が、札幌市立高等女学校を会場として開催された。(続く)

~道展四十年史より(一部中略あり)(K.W.)

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