道展物語(11)~道展絵画講習会~

道展物語

2023.05.19

 昭和11年夏、道展主催の絵画講習会が開かれた。大正末期以来、北海道の美術活動が盛んになると、中等学校の図画教育のほか美術教育機関が無かった為、展覧会のほかに絵画の講習会の必要が痛感された。昭和10年と11年、荻野康児の水彩画の講習会が開かれ、大いに成果をあげたなどその例である。昭和8年8月、平原社主催の第1回美術講習会が帯広で開かれ、道展会員より能勢真美と今田敬一が招かれたが、続いて道展自身も講習会を開く事を決意したのであった。 

 道展の出品者から判断して、当時講習の必要と要望があったのは、全道にわたる図画教師であった。この点について道学務部の理解を得、学務部後援のかたちで最初の講習会を開いた。講習生の大部分は予想のとおり図画教師が大部分で、結果として道主催の講習会を、道展が代行でもしている様な錯覚さえ覚えた。

 講習会は昭和11年より17年まで、8月上旬を定期とし、いつも札幌、大通小学校を会場に、毎年規則正しく開いた。講師は道展会員会友の奉仕で、特に委嘱する事は無かった。

 講習最後の日は批評会を開き、優秀な講習生は表彰し、またその年秋の道展に限り無鑑査の特典を与えた事もある。

 第2回講習会の時から日支事変が始まり、戦時態勢が次第に強化され、大通小学校は大通国民学校の名に改められたくらいであった。講習会にも、後になるほど戦時色が漂ってきた。昭和16年の末、太平洋戦争に突入する。事態はまったく改まり、翌17年を最後に終戦前の講習会は打ち切られている。 (続く)~次回『美術館の要望』

~道展四十年史より(一部中略あり)(K.W.)

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