道展物語(5)~移動展の始まりとその他の事業~

道展物語

2023.05.19

 北海道における美術の向上と普及を目的にしていた北海道美術協会は、昭和4年、第5回道展を旭川に移動させた。これが道展を移動させた始まりである。9月19日までの会期を23日まで延長して終了すると、作品を直ちに旭川に送り、10月1日から7日まで一週間、郡農会館で移動展を開いた。9月25日、本間紹夫と山内弥一郎が先発。陳列作品は、炭光任、本間芳洲、菅原翠洲など日本画17点、石野宣三、田辺三重松、高橋北修など洋画79点、彫刻1点、また特別出品として高間惣七、牧野虎雄、岡田七蔵ほか、満谷国四郎、大久保作次郎、熊岡美彦、上野山清貢などの作品が並んだ。

 第5回展の開催に先立ち、昭和4年5月2日から6日まで、北海道美術協会は、事業として『上野山清貢歓迎展覧会』を主催した。会場は中島公園の農業館。上野山清貢は当時の道展幹部たちの先輩で、道展創立以前から親しくしていた。その上野山清貢が帝展などで成果をあげ、当時の北海道出身の美術家には珍しい派手な帰郷であった。そこで上野山のために展覧会を用意し、先輩を労ったものである。この展覧会は、上野山清貢の作品を中心に、道展作家の作品を招待展示した。

 昭和4年の事業の一つとして、『全道小学生自由画展』も挙げられる。この頃は児童の創作画を自由画といっていた。第1回と第2回の自由画展は、大正14年、15年の第1回、第2回道展と併催したが、昭和4年の第3回展は農業館の独立した催しに昇格したかたちであった。(続く)

~道展四十年史より(一部中略あり)

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