道展物語(4)~道展最初の機構~
道展物語
2023.05.19
創立時代の規約に「本会は北海道に於ける美術の向上普及を図るを以って目的とす」とあるように、そのころは美術の向上とともに普及ということも必要であり、その方針はながく続いた。
また役員として理事があり、むずかしい問題を理事会に解決してもらったことは、すべてがまだ不安定な創立時代の安定化に役立ったようである。創立の機動力となった竹内武夫と、小谷義雄、島崎貢の三名が常任理事でそれぞれ個性的な卓越した見識と手腕があり、若い会員たちを指導して信頼され、道展の基礎固めに大いに貢献した。木下三四彦もまた理事として重要な役割を果たした忘れられない人物である。
また創立の初めから総会の制度があり、これが完全に活かされたことも初期道展の特徴であった。すべてを会員の総意に問う民主的な方法は、その後の道展の円滑な運営にどれほど役に立ったかわからない。総会がある為に発言の自由があり、道展は会員それぞれのものになり、そこから道展に対する深い愛情がわいた。相反する意見さえ、道展を愛する気持ちでは同じであった。そしてその愛情が、道展の伝統として今に至るまで続いている。
初期道展も初めは出品手数料が無く、会員も一般出品者も、作品の大小にかかわりなく5点出品できた。なお、一般出品者は北海道在住者であること、としたのは第2回の出品規定で、これにより、道展の地域展としての性格がはっきり打ち出されたのである。(続く)
~道展四十年史より(一部中略あり)