道展物語(2)~第1回道展~

道展物語

2023.05.19

 最初の道展は大正14年10月5日から18日まで2週間、会場は予定のとおり中島公園の農業館であった。これが北海道で最初の全道的規模の美術展覧会、同時に最初の公募展であった。搬入は9月29日と30日、この30日午後6時の集計によれば、一般出品の搬入は日本画72点、洋画233点、彫刻8点の計313点だが、その後なお増加した。札幌と小樽のほか、函館、岩内、江部乙、旭川、北見、釧路などからも搬入されており、それらのうち69点40名が入選した。

 最初の道展が、美術展覧会にいつも深い関心をよせる札幌市民の支持をえたことは幸いであった。新聞の大きいPRがまた市民の関心をたかめたし、また道展主催の第1回全道小学生自由画展の併催も道展にプラスした。当時は入場料20銭、出品目録代5銭で、好天の日曜日など700~800名をこえる入場者があった。そして道展はこの最初の展覧会以来、回を重ねるごとに市民のなかに滲透し、やがて全道にひろがっていった。

 最初道展は全北海道美術展覧会といっていた。それが道展という略称で親しまれるようになったのは、当時の新聞紙が道展と書きだしたからで、これが一般にひろがると同時に、会自身も自分から道展というようになった。そして数年後には、北海道美術協会といってもちょっと通じないのが、道展といえば誰れにでもすぐ分かってもらえるようになったのである。(続く)

~道展四十年史より(一部中略あり)

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